生薬に含まれる新規抗がん成分の探索と創薬への応用

摘要

臨床に応用される生薬は多成分から構成され，その成分も直接的に作用するアルカロイドや肝臓などで活性体になって初めて作用する配糖体など，その他多糖体など多くの薬効成分からなる． しかも体内に取り込まれた後，全身の然るべきところに分布する代謝酵素によって抱合，修飾，変換されて，作用が似ているもの，似て非なるもの，全く異なるものなど多種多様な効果を生み出す． 薬剤として利用される形態は，多成分からなる生薬を幾つか組み合わせて医療者の薬のさじ加減で処方されていて，問題となっている症状を正に傾けるものと，負に傾けるものの微妙な量でバランスが保たれて効果を発揮するといわれている． 科学が日進月歩で進歩している現代にあって，この多成分系集合物質を解析することは他愛無いように思えるが，3次元クロマトグラフイーを用いてもその機器の普及が十分ではないこともあり，その解明へのプロセスは茨の道である．