オイン液体を利用した機能材料の創出

摘要

イオン液体（室温溶融塩）は従来の分子性液体とは全く異なるタイプの液体として幅広い科学分野，産業別こおいて興囁を鎮めている．典型的なイオン液体の構造は，4級アンモニウムなどの有機オニウムカナオンと種々の有機，無機のアニオンから構成される．代表的な特徴として，室温を含む幅広い温度域において液体として存在すること，極めて低い蒸気圧を有すること（不揮発性），構成要素に依存して水や低極性の有機溶妹と相浴しないこと，などが挙げられる．前述のような特徴から環境調和型の合成·摘出溶媒や高いイオン伝導性を有する電気化学用の電解質への応用などが検討され，広くその有用性が認徹されつつある．基礎科学的には低融点である理由や液体状態における局所構造，ならびに界面の物理化学など未だ明確でない部分も多い．熱分析や分光学約手法を始めとする先端計測技術によりイオン液体のさまざまな特徴や機能が解明されるとともに，種々の機能性イオン液体が開発されるにつけ材料化学分野においても著しい進展が遂げられている．