中空多孔質金属酸化物ナノ粒子の大量高速合成法

摘要

多孔質材料は表面積が極めて大きくナノスケールの大きさの細孔内部に種々の物質を導入できるため，吸着材や触媒担体として工業プロセスへの応用を目的に盛んに研究がおこなわれている~(1)).一方，一様な粒径を有するナノスケール多孔質粒子は，媒体への均一分散，マニピュレーションや回収操作等に関し極めて扱いやすい大きさで，かつ高密度充填や光学的応用に極めて有利である.さらに，中空多孔質ナノ粒子であれば，金属，低分子化合物，薬剤などをナノ粒子内孔内に導入することも可能である.われわれはこのような可能性を持つ多孔質ナノ粒子として球状多孔質金属酸化物ナノ粒子に着眼し，その外見がマリモに極めて類似していることから，これら一連の球状多孔質金属酸化物ナノ粒子をmesoporously architected roundly integrated metal oxide(MARIMO)ナノ粒子と名付けた~(2~6)). MARIMOナノ粒子を得るには，水熱法，ゾルーゲル法，自己集合法などが用いられているが~(7~9）)，最近，超臨界水や超臨界アルコールなどの超臨界流体を反応場とする多孔質金属酸化物合成法が開発され，反応時間が一気に短縮されるとともに，大きさや形状が制御された有機ー無機複合ナノ粒子合成法として関心が集まっている~(10~13）).本稿では，超臨界アルコールを反応媒体とする中空MARIMO粒子の単工程ワンポット合成法と得られたMARIMO粒子の貴金属ナノ粒子修飾を紹介する.