ナノコンポジットの新しい世界

摘要

世界の社会?経済体制は過去10年間で大変革を遂げたが，日本はこの変革に十分に対応することができずに，今でも厳しい状況に置かれている．この急激な変草の中で，われわれ材料研究に携わっている者にとって，注目すべき重要な点は，「勝ち組が全てをとる」デジタル社会の到来と，これによる社会?経済体制のみでなく科学技術体制においてもグローバリズムが浸透し，今まで以上に「時間（スピード）が重要な要因」になってきたことである．また，20世紀のめざましい科学技術の発展を基礎にして，「知」の創造と活用が最も重要になる「知織社会」が到来し，後追いの研究開発で生き残れる可能性は完全に消失し，独創性と新規性が強烈に求められるようになったことである．世界単一の経済社会，すなわち世界単一の工業社会が成立する時代，勝ち組が全てをとる高度情報化社会において．企業はいうに及ばず国が盤かに生き残るためには敵化する経済競争に打ち勝つ以外に道はない．すなわち，21世紀には，新しい産業分野を求めるにしろ，既存の産業分野を充衆?拡張するにしろ，独創的で他を差別化できる技術開発に成功した企業のみが生き残れると考えられる．