神々への供物南インド·チダンパラムにおける寺院儀礼と家庭祭祀をめくって

摘要

本稿の目的は南インドでの調査資料に基づき，寺院祭祀と家庭祭祀における供物の分析を行うことである。 筆者は，1982年6月から翌年11月までの1年半の間に行ったスリランカのタミル·ヒンドゥー漁村での調査，および1988年より断続的に行っている南インド·タミルナートゥ州チダンパラムのヒンドゥー寺院とその司祭集団の調査から，タミル人社会における宗教儀礼や社会関係を理解するうえで，さまさまな機会に与えられる神への供物が重要であることを痛感した。