Nd:YAGレーザ第5高調波によるDCマイクロアークジェット·ノズルの微細加工

摘要

近年，マイクロ衛星，ナノ衛星，さらにはピコ衛星などの超小型人工衛星が注目を集めている．特に，推進装置など各種要素技術については，精密加工技術の進歩に伴い，各種デバイスの小型化が可能になった背景とマイクロチャネル内部流という新しい物理現象に対する興味という側面もあいまって，各国で開発が進められている．筆者ら札，これまで投入電力が10W程度の微小電力アークジェットについて，その放電特性，プラズマ加熱特性，ならびにこれらと推進性能の相互関係について検討してきた．微小電流領域で安定作動可能な高性能アークジェット推進機が実現できれば，その構造上小型·軽具化が容易であることから，マイクロ衛星用推進装置として適していると考えられる．さらに，Nd:YAGレーザの第5高調波を用いてマイクロアークジェットノズルを微細加工し，投入電力5W程度の直流放電で作動可能なマイクロアークジェット推進機を試作した．さらに，その基本的な推進特性の評価を行った．その結果，この種のマイクロノズル流の場合は，ノズル半頂角が比較的大きい場合の方が，推進性能の向上に対して有利であること，ならびに推進性能がノズル形状のみならずノズル出口部の背圧に大きく影響されることを確認した．背圧が低い場合，この種の微小ノズル流では，ノズル長が短いため過度の不足膨張流れとなり，噴流の径方向成分が増大し，逆に推力に寄与する軸方向成分が減少する．そこで，これを綾和し推進性能の向上を図るために，マイクロノズルを複数個アレイ状に配置したアレイノズルについて検討した．本研究では，Nd:YAGレーザ第5高調波を用いたマイクロアレイノズルの試作を行い，ノズル加工特性の評価を行った．