ドイツの初等数学教育における「パターンと構造」の学習に関する研究－「初等領域の数学教育スタンダード」と『数の本』第2学年における教材を視点に－

摘要

本研究では，教師が算数的活動を充実させる学習環境のデザインに示唆を与えうるものとして，現代ドイツの初等数学教育における「パターンと構造」の学習に着目し，「初等領域の数学教育スタンダード（常設文部大臣会議）」における「パターンと構造」の学習内容と教材を明らかにする．そして，「初等領域の数学教育スタンダード」を踏まえて出版された初等数学教科書『数の本』第2学年における教材を詳述する．考察の結果，「初等領域の数学教育スタンダード」において「パターンと構造」は数や図形に関する法則性や関数的な関係を見つけるだけでなく，それを理由づけたり，表現したりする学習として位置づけられていること，『数の本』第2学年における教材では，学習内容を一貫する原理として「パターンと構造」が捉えられていることが明らかになった．