小学校算数科における数学化を重視した学習指導に関する研究－わり算の筆算の創造に焦点をあてて－

摘要

本稿の目的は，RMEの理論を手がかりにして構築した，数学化を重視した学習指導の枠組みに基づき，わり算の筆算の創造に焦点をあてた授業を構成，実施し，その有効性を探ることである．そのために，授業のプロトコルや学習感想を分析した．その結果，以下のことが明らかとなった．1つ目は，10を単位とした除数のまとまりに至るためには，除数のまとまりを豊富に作らせ，それらを簡潔性という観点から吟味することが重要となるということである，より簡単なものの追究は，最終的に「十進数」へと至り，「×10」が表出するのである．2つ目は，わり算の筆算形式を創っていく際，素朴な表記とより洗練された表記を併用して用い，それぞれのよさを吟味することが重要であるということである．3つ目は，本授業を通して，数学的見方?考え方や算数に対する姿勢·態度が養われたとともに，算数観の変容が見られたということである.