図形の問題づくりに用いる原題の有効性とその改題に関する教材研究の視点

摘要

本研究のねらいは，筆者が開発した長方形についての原題の有効性と，その改題についての教材研究の視点の適切さを，実際に生徒が作った改題や教材研究過程における改題の教育的な価値の検討を通して明らかにすることである．本原題は次のことから適切であることがわかった．（1）改題づくりが初めての生徒でも，仮定結論をどのように変えるかということを丁寧に指導すれば，それなりの改題をっくることができる．（2）改題のなかに，平行四辺形の条件や相似など必修数学の指導に活用できるものや，拡張や特殊化などの考え．を駆使するもの等が見られた。 また，改題についての教材研究の視点に関しては，次のことがわかった。 （1）逆の命題をっくらせると，三角形の合同条件や作図における点の位置の決定など，図形教育の根本を考えさせることができる小 ?）式の計算を交えた分析を，初等幾何的な分析に先行させると有効に働くことがある．（3）先行研究で取り入れられた「点の位置を変える」というような視点が，本改題に関する教材研究にも有効である．