ニュートンの『プリンキピア』と相対性理論絶対運動，万有引力，遠心力について

摘要

筆者は以前に本誌（2004年8月号）に「『プリンキピア』への歩みというタイトルで，ニュートンの『プリンキピア』成立史について簡単に解説したことがあるので，ここではそれとは重複しないよう，少し視点を変えて議論を進めることにしたい．『プリンキピア』（1687）の正式な題名は『自然哲学の数学的諸原理』（Plilosophiae Naturolis Principia Mathematica）であるが，この本によって，古典力学の概念的基礎が確立されるとともに，コペルニクスの太陽中心税の提唱に始まり，ケプラー，ガリレオ，デカルト，ハイへンスらによって継承かつ発展させられてきた16－17世紀の科学革命が完成されることになったこと，また18－19世紀には，『プリンキピア』の幾何学的記述プぎ法が解析学的に審き換えられ，さらに形式的にも発展させられていき，近代科学のパラダイムとしての地位を確保したことはよく知られている．