凶器の視覚的特徴が目撃者の認知に及ぼす影響

摘要

殺人や強盗事件等に遭遇した場合，目撃者の注意が犯人の凶器に釘付けになり，犯人の人相や着衣に関する記憶が抑制される現象は，凶器注目効果（Weapon focus effect）として知られている（Cutler， Penrod，＆Martens, 1987； Kramer, Buckhout，＆Eugenio，1990；Loftus, Loftus，＆ Messo，1987；Maass ＆ Kohnken，1989；Pickel，1999；Tooley，Brigham，Maass，＆Bothwel，1987）。 犯人の人相や着衣等に関する目撃者の供述は，犯人の特定や検挙につながる重要な手掛かりであることから（Fisher＆Geiselman，1992；横田，2004），凶器注目効果がどのような条件で生じるのか，また凶器注目効果が生じた場合，目撃者の供述はどの程度信頼できるのか，これらについて明らかにしておくことは刑事司法上重要な課題である。