良移心当流和術

摘要

現在の講道館柔道を遡ってゆくと，柳生新陰流の「月の抄」にたどりつく，この伝書は柳生十兵衛三厳が祖父の魔大な伝書を整理し完稿したもので，伝書中に「外の物の事」と「和の事」について詳しく言及されている。 このことは，石舟斎宗厳の時代より無手で制圧する技法の体系化がかなり進んでいたのであろう。 外の物には「小脇差居相」「捕手」が明記されており，柳生新陰流における「柔の理」を示していることが確認できる。 柳生新陰流の名手福野七郎右衛門は，早くから柳生石舟斎宗厳，但馬守宗矩の両氏に師事して自らの舶討法に「柔の理」を加味し斬新で精妙な良移心当流和術を興した。 この流は，宗厳，宗矩の両氏も三国無双の秘術也と絶賛したほどである。