中国自動車企業の製品開発-イミテーションとイノベーションのジレンマ-

摘要

本稿の狙いは，新興勢力とされる中国の独立系自動車メーカーの製品開発のパターンを検証することである。 米日に次ぐ世界第3位の自動車市場に急成長した中国では，外国企共による怒涛のごとき集中投資の中で，独立系メーカーほ弱小でありながらも果敢に挑職を続けている。 本稿では「統食型製品開発」と「結合型製品開発」，「R＆D資源過剰」と「R＆D資源過少」といった分析概念を導入し，独立系メーカー7社と自動車設計会社2社に焦点をあてて，その製品開発のパターンを検証した。 　 その結果，次のような諸特徴が抽出された。1）設計の外注化　 外国設計会社への開発委評。 2）基幹部品の外部調達から内製化への切り替え。 3）イミテーション問題による外国企業との知財係争の激化。 4）開発技術者の争奪戦の激化。これらの企業は，内外の設計資源を多様に取り込んで，「寄せ集め（モジュラー）設計」を基本パターンとする「結合型製品開発」という段階に差し掛かっている。