作用素環への入り口

摘要

今年はICM2002北京の年ですが，日本では嬉しいニュースが春から二つありました．一つは河東泰之の日本数学会寛容季寛受賞，もう一つは小沢?岸本?境の共同による可分C＊－環の純粋状態空間の均質性に関する結果で，世界のエキスパートを驚かせる大ホームランです．しかも三世代にわたる共同論文とは，長寿国日本を象徴するような見事な快挙です．四人の快挙には，30年以上前に国を出て以来，初めて観賞した一足早い桜の満開と共に，筆者はよろこびに卿、ました?こんな明るいニュースを持つ日本の作用素環界ですが，ここでは作用素環への入り口について，例をたどりながら，歴史から何を学ぶべきかについて，日本の現状も含めて述べてみましょう．