超伝導重力計連続観測に対する液体へリウムレべル変化の影響- 南昭和基地での観測例-

摘要

超伝導重力計のセンサーユニットと少液体へリウム貯留槽の空間配置を重力センサーユニット（内側），液体へリウム貯留槽（外側）からなる2重同心円筒で近似し，貯留槽内の液体へリウム量の変化がセンサー球に及ぽす影響量（引力変化）を3台の超伝導重力計TT-70#016,C#043，OSG#058について計算した． 例えば，重力計TT-70#016の体へリウム充塡率（液体へリウムレべル）が0％ から100％ に変化したときに予想される重力変化は0.88μGal(1μGal=10~(-8)sms~(-2)）であり，C#0荏3 と0SG#058では，それぞれ0. 25μGal, 0.35μGalであった． また，TT-70#016 に2時間で液体へリウムを20％ から100％ まで充塡することを想定すると，その間に約0.9μGaの人為的で急激な重力変化を生じさせることになる． 2003年に得られたSG C#043の観測データに適用したところ，予想された変化ょり大きいものの，急激な液体へリウムレべル変化と対応した重力変化が見られた．超伝導重力計を用いた通常の観測では，5～14%の液体へリウムレべルの変化により0.1μGa程度の重力変化が起こりうることから，サブマイクロガルの微小な重力シグナルを検出するためには，定期的な液体へリウムレべルのチェックが望まれる．