高速道路の未完成路線の評価に関する問題－方法論と需要予測

摘要

高速道路の一部区間のみが開通している未完成路線の評価は、当該路線の未完成区間が完成して他の路線に接続し、さらにネットワークの一部を構成した段階まで考慮に入れて行われるべきであり、この一連の過程を考慮しない評価は不適切である。未完成路線の一部開通区間の交通量は極めて少ない。若干の識者やマスメディアはこうした交通量の少ない一部だけ開通した区間を取り上げて「熊しか通らない」ムダな高速道路と批判した。加藤秀樹と構想日本「道路公団解体プラン」（文春新書）の収益力算定では、伊勢湾岸自動車道を区間に分けて各区間の収益力を最低レベルに評価した。同自動車道は全通すれば利用交通量が大きい有用な道路であると考えていた私達は、同自動車道の整備が進み全線開通（2004年12月）して他の路線に接続する時期を含めて利用交通量の変遷を検証した。