板紙の型技刃先の潰れに及ぼす初期先端形状の影響－板紙の押抜きにおける刃先変形の数値解析

摘要

包装用板紙等の型抜加工は，くさび状の切刃と平たい面板との間に板紙類を挿入して押抜く工法であり，板紙が切断される際に刃先が面板と衝突する．そのため刃先が潰れ易いという構造的特徴を持つ．刃先の潰れによる切味低下に伴う紙粉発生や切口形状の不良等が問題であり，刃の交換寿命は生産効率の重要な因子である．著者らは刃先の潰れ幅が板紙類の切断品質に与える影響を明らかにするため，台形刃を用いたアルミニウム板の押抜きにおける解析式の適用性や板紙の切断形状と糸状紙粉の発生について報告しており，更に押込荷重の大きさと刃材硬さに依存する刃先潰れの実験刃を行っている．これに対して従来，切刃の仕様として(1) 基準となる刃先角度，(2)基準角度に対する極先端部の修正角度，(3)切刃と対向する工具面板の硬さに対する相対的な刃先の硬さ，(4)刃先加工面の切削·研磨方向等を経験的に選定している．これらの報告から，板紙類の切断に必要な押込荷重に対して刃先の硬さと初期形状とが刃先潰れの変形特性を決定すると考えられ，しかもある程度潰れた刃先を使用して板紙類の切断品質を維持できると推察される．