複動ポンチを用いたドローベンド成形における高張力鋼板の形状凍結性

摘要

このように曲げ－曲げ戻し変形を伴うドローベンド成形において，逆曲げを利用したプロセスは高張力鋼板の形状凍結性を高める上で非常に有用な方法といえる．本研究では，逆曲げを全く別の機構で発生させる方法として，プレス金型で用いるポンチを複動化し，多段的なアクションを与えて成形を行う手法を提案する．ここでは，板材成形における形状不良問題について体系的にまとめられている対策の中で，曲げ変位成分のバランスを取るという考え方に着目し，側壁部の一部に逆曲げを与えて，異符号（内向きと外向き）の壁反りを共存させることを検討する．さらに，提案手法による高張力鋼板の形状凍結性を高めるため，しわ押え力制御を併用した形状凍結技術についても検討したので，その結果を報告する．