小歯数·大ねじれ角を有するはすば歯車の転造成形－成形可能性の検討

摘要

本研究では，小歯数·大ねじれ角を有するはすば歯車を，むくの円柱素材から冷間転造で成形する工法について，その可能性を検討する．これまでに，このようなはすば歯車に対する歯切り加工の報告はあるが，転造についての報告はないようである．一方，歯車の転進成形に関する研究では，自動車用ウォームまたは自動車用ステアリングピニオンを対象とした研究は多いが，その知見を本研究で扱う歯数が2で歯底径が小さく，ねじれ角が30～60°という極端な小歯数のはすば歯車には，容易に適用できない．本論文ではこのようなはすば歯車をまず，過去の知見をもとに，試行錯誤での改良を加えて転造で成形し，歯車精度，歯面の面粗度，加工硬化等をホブ切りで加工したものと比較した．その後，それぞれの工法で加工したはすば歯車を小歯車とし，はすば大歯車と組み合わせ，減速装置に組み込み，その性能を比較した．さらに，様々な諸元のはすば歯車の転造成形も試み，転造での成形可能性とその課題について論じる．