圧延圧密木材の材料特性－木材圧延の研究 第4報

摘要

R&F法で製作した圧密木材のブリネル硬度，曲げヤング率，曲げ強度を求め，それらと平面圧縮法で求めた値と比較することで次の結論を得た．(1)板厚30mmのスギ材をR&F法により16.5mmに圧延し，高圧水蒸気で変形固定した結果，素材に対するブリネル硬度比で1.43倍，曲げヤング率で1.31倍，曲げ強度で1.27倍の圧密材が得られた．(2)上記の結果は圧縮条件及び変形固定条件を同一にした平面圧縮の試験結果とほぼ等しい値となった．(3) R&F法では永久変形固定のための熱処理法である高圧水蒸気法と高温乾燥法のうち，高圧水蒸気法で行うことが不可欠である．その理由はR&F法の圧縮行程で入る除荷過程及び圧延変形に伴うせん断変形の影響が湿潤加熱である高圧水蒸気処理により材が軟化し平均的な圧密効果へ回復させる効果があるためである．(4)ドライングセット法により，高温熱処理前のR&F法と平面圧縮材との材料特性を比較することで，圧縮変形の差異による材料特性の差及びその差が高温熱処理によりどの様に変化するかが掴めた．