窒素による鉄鋼材料の表面硬化技術－窒素による鉄鋼の新表面硬化法

摘要

窒素による鋼の表面硬化技術は，古くて新しいテーマである．ガス窒化のベースガスであるアンモニア（NH_3）は，Haber-Bosch法の確立により1913年に工業化され，10年後の1923年にドイツKrupp社のA．Fryが鋼のガス窒化に関する研究成果を発表している．ガス軟窒化は，アメリカGM社が1966年に自動車部品に適用したのが始まりと言われている．ガス浸硫窒化は，1990年代に㈱日本テクノが実用化し今日に至っている．最近，我が国で窒素マルテンサイ下により鋼表面を硬化する技術が開発された．窒素による鋼の表面硬化技術は，「低ひずみ」，「低温処理」，「高硬度」，「焼戻し軟化抵抗性」等の要望に応える有望技術である．そこで窒素による鋼の新表面硬化法の一端をまとめ紹介してみたい．