大都市域の大気組成観測

摘要

大都市やその周辺は人間活動の盛んな地域であり，自動車，工場，発電所，廃棄物処理場など，大気汚染物質を排出するさまざまな移動発生源·固定発生源がある．中国や東南アジアの大都市では，一般家庭からの排出量も全体としては大きな割合を占めることがある．一般に化石燃料の燃焼においては二酸化炭素（CO_2）が主要成分である．CO_2以外の成分は燃料の種類や燃焼方法によって大きく異なる．それらの大気中における濃度はpptv（10~(-12)）～ppmv（10~(-6)）程度と微量であるが，大気汚染や放射に関わる諸現象はこれら微量成分によるところが大きい．気体成分に比べてエアロゾルの理解は遅れており，新しい計測のニーズも高い．本稿ではエアロゾルを中心に解説する．気体成分については詳しくはふれないが，特にエアロゾルとの関連において重要な成分を表1にまとめた．