多孔質セラミック膜による水素分離および触媒膜型反応器への応用

摘要

燃料電池自動車の市販開始が報道されるなど，水素社会の実現が近づきつつある．燃焼後に二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーである水素は，化石燃料だけでなく，再生可能エネルギーからも製造可能であり，持続可能なエネルギー社会の構築に資する．このような観点から，内閣府は2014年7月に戦略的イノベーション創造プログラム（SIP）を立ち上げ，その1課題としてエネルギーキャリアーが採択されている．太陽光や風力などで水素を製造し，アンモニアやメチルシクロヘキサンなどの水素化物（エネルギーキャリアー）として貯蔵·輸送し，使用時に脱水素反応で水素を取り出し，利用する．このように，水素製造·分離は，エネルギーキャリアーシステムの構築に極めて重要であり，分離膜の果たす役割は大きい．