楽しみながら学ぶ－生産の学びに活きる計測·制御·システム：ものづくりを通した小中学生への技術教育

摘要

一般に言われているゆとり教育によって理科の授業時間が大幅に削減されたことは，昨今問題にされている青少年の理科離れをさらに加速させているものと思われる．理科離れ対策の1つとして，長野県では科学技術週間や夏休み期間中に県内の研究施設を一般に開放し，科学技術に対して小中学生に関心をもたせる機会を設けている．また長野市では少年科学センターにおいて「楽しい実験工作教室」が開催されており，同様な企画は県内の他の自治体でも行われている．その他，信州大学を中心として，県内各地区持ち回りで「青少年のための科学の祭典」の長野県大会が毎年開催されている．そうしたなか小中学校では総合的な学習時間の充実を図るためには，保護者や地域社会の協力が不可欠になってきており，自治体や研究機関および高等教育機関が果たす地域への役割は以前よりも高くなってきている．このような状況をふまえ，長野工業高等専門学校（以下「長野高専」と称する）では，2004年4月の独立行政法人化への移行に伴い中期目標を作成した．その中には長野高専の学生に対して実践的技術者教育を行うことなどがあげられているが，それ以外の目標として地域との連携もあげている．これは会社などとの共同研究によって社会に貢献することはもちろんのこと，公開講座や出前授業を通して小中学校や地域に対して貢献していこうとするものである．ここでは長野高専の小中学生を対象とした理科や科学·技術教育の取り組みの一部を紹介する．