制御理論における未解決問題--局所理論から大域理論へ

摘要

70年代からの流れを振り返りながら，現在の制御の状況と研究すべき方向性について考えてみた。 改めて感じるのは，現在制御はある種の分岐点に立っているのではないかということである。 これからの問題はこれまでの問題をより大域的に，広範な応用の可能性を秘めた問題に転回させたものになっていくのではないか。 たとえば通信ネットワーク，ハイブリッドシステム，生体システム，離散事象システムなどの研究はそのような可能性を秘めていると思われる。 また本文中ではふれなかったが，工学全般における横糸としての制御理論の役割がより明らかになるような研究が期待される。 たとえばさまざまな工学分野や生体のメカニズムの解明においては，いわゆる逆問題が問題とされることが非常に多い。 これなどは可観測性の問題であり，制御分野の研究者の貢献があってもよいところと思われる。 また本文中にも述べたが，すでに定式化された問題を解くだけではなく，より進んで新しい問題を提起し，それを解く新しいアプローチやツールを見出すことがさらに重要である。 若い世代の意欲的な挑戦を期待したい。