スパッタ法による低反射ガラスの作製

摘要

スパッタリングによる光吸収性反射防止膜について，絶縁性薄膜の高速成膜に関する技術的進展とアーキングの理論的解析の結果とともに紹介した。 光吸収性薄膜を構成要素の一部, 基板上の第1層とし，次いで透明な材料で第2層を形成した場合，光学シミュレーションによれば，もし, この吸収膜が理想的な光学分散を有していれば，考えているすべての波長範囲において完全に反射率がゼロのperfect anti-reflectorが得られることが示された。 TiN_xO_y という材料がこの理想値に近い光学分散を有していることが見出され，G/TiN_xO_y/SiO_2の2層膜を作製したところ，予想通りの優れた低反射性龍を示すことが確認された。 本稿では述べなかったが，TiN_xO_y層とSiO_2層の間に薄いSiN_x層を挿入することにより耐熱性を格段に向上させることができ，モニター用CRTパネルガラスへの光吸収性反射防止膜（WARASTM）を工業化した。 また，自動車のフロントガラスやPETフイルム基板への適用も実施または検討されている。