セメント業界における環境問題への取り組み：持続可能な発展を目指すセメント産業の自主的な取組み

摘要

近年，企業経営にとって，CSR（企業の社会的責任）などの持続可能な発展に向けた取組みが重要であるとの認識が高まりつつある．WBCSD (World Business Council for Sustainable Development)では，企業が地球規模で果たすべき役割を検討し，さらに，経済発展に加えて，環境への配慮，社会への貢献という三要素（トリプルボトムライン）が調和するような取組みを実践することを議論してきた．2005年6月に名古屋においてWBCSDの一連の行事が開催され，中でも世界各地から経営トップが出席した年次総会（図1）は，環境やCSRに関わる課題について討議する重要なイベントになった．また，国際的なセメント企業10社が参加しているセメント産業部会（CSI＝Cement Sustainability Initiative，持続可能な発展のためのセメント産業自主対策）の活動経過報告をあわせて公表した．本稿では，WBCSDの社会的役割とセメント産業部会の自主的な取組みについて概説する．