セリアジルコニア系粉末の共沈法による合成と分光特性評価

摘要

CeO_2-ZrO_2系酸化物を中和共沈法により合成した．作製した試料は粉末X線回折の結果よりZr含有量に応じて，立方晶の蛍石型構造，歪んだ蛍石型構造の正方晶，そして，単斜晶の相が存在し，Zr_xCe_(1-x)O_2において，x=0.4～0.7では立方晶蛍石型構造のCeに富むCeO_2-ZrO_2回溶体と正方晶擬蛍石型構造のZr に富むCeO_2-ZrO_2固溶体の2相の固溶体が共存することが認められた．黄色の発色はx=0.2～0.8で最も濃く，顔料として利用できる可能性があると考えられる．また，発色の原因として320～350nmにCeO_2バンド間遷移による光吸収があり，Zr の導入により可視光域まで吸収が及び，x=0.2～0.8で最大となることで紫，青の相当する光が吸収され，その補色である黄色の発色が得られた．さらに，この系の粉末の色の変化はCeO_2-ZrO_2固溶体中の構造変化の指標となる可能性を示唆した．