溶融AlへのMo線浸漬実験に基づくMo-Al系金属間化合物の燃焼合成過程の観察

摘要

本研究では，一連の研究に引き続き，耐熱新素材として期待されるMo-Al系金属間化合物について燃焼合成の反応機構を解析することにした．一方で，MoはTiAl金属間化合物の特性改善の第三元素として，添加が有効とされる．しかし，Moが高融点元素であることから，未反応のMoが燃焼合成TiAlに残留し易く，添加の効果が発揮できない場合もあった．本研究では，TiAl燃焼合成への第三元素添加法を検討する目的も兼ね，Mo-Al系金属間化合物について反応機構を調査した．周知のように反応機構の解析では，まず現実の燃焼合成過程や，相，組織を観察することが重要である．そこで本研究では，Mo-Al系金属間化合物の燃焼合成の組織観察，ならびに溶融AlへのMo線浸漬実験から，Mo-Al系化合物生成挙動を調査することを目的とした．こうした反応に関する研究は，燃焼合成の研究以外でも，例えば複合材の界面反応，金属部品への耐蝕皮膜処理，材料の接合界面の評価と特性のように用途が多岐に渡り，機械材料や材料加工の基盤として重要と考えられる．