表面·薄膜物理学－原子テクノロジーの源流：第1章 超薄膜エピタクシー研究の歴史

摘要

筆者は，初期の古典的研究については実験を実際に行った諸先生方から直接的に学び，超高真空時代に突入してからは筆者も研究に参加することもでき，この分野の発展の歴史をみつめることができた．以下にその概要に付いて述べるが，この分野を網羅した説明は困難であるので，筆者が関係した研究を中心としてその周辺の研究も含め，およそ16章に分けてその概観の説明をする．1章でエビタクシー研究の歴史，2～4章で清浄表面における詳しい研究結果，5章以降でRHEED，UHV-SEM，新型分光器，表面電気伝導，ナノミセル，STMなどに付いての説明も行う予定である．これで全ての研究が紹介されているわけではないが，エビタクシー·原子テクノロジーに関する本質的な内容は充分に含まれており参考になると確信している．また，全ての研究結果を羅列するのではなく，どうしてそのような研究テーマを選定し，どのような方法で研究が展開されてきたのか，指導者や研究者（筆者も含めて）の心の動きや動機等についても紹介する予定で，初学者にとっては大いに参考になると思われる．紙数の制限もあるので研究の内容を詳細に記述することはできないので，詳しく知りたい方は原論文や解説を参考にしていただきたい．