水素貯蔵合金の最近の開発研究：アラネート系水素貯蔵材料

摘要

アラネートは上述のXがアルミニウムAlである系で，錯陰イオンの部分は[AlH{sub}4]-（テトラヒドリドアルミン酸イオン）と[AlH{sub}6]{sub}(3-)（ヘキサヒドリドアルミン酸イオン）が存在する．それぞれ水素原子がアルミニウム原子の周りで正四面体配位，正八面体配位している．これと電荷の均衡を保つための対陽イオンYとしては，アルカリ金属(Li, Na, K)やアルカリ土類金属(Mg)などが古くから知られている．また高圧合成などによって対陽イオンが7族から12族の遷移金属から成るものも知られている．因みに本稿では触れないがXがホウ素Bである系，例えばLiBH{sub}4なども同じ錯体系水素貯蔵材料として捉えることができ，研究の対象となっている．またこのホウ素系の対陽イオンがNaの場合(NaBH{sub}4)の，電気化学的利用法も研究されている．本稿では紙幅の都合上，主にアラネートのうち対陽イオンがLiの場合(LiAlH{sub}4)とNaの場合(NaAlH{sub}4)に話を限定する．