機能性材料における表面処理技術の現状と展望：周期凹凸構造の自己組織化を利用した表面処理技術

摘要

自然界を見渡すと様々な周期現象が観察されるが，これらは脈拍，細胞周期，睡眠と覚醒といったバイオリズムといわれる時間周期現象と，シマウマ，トラ，熱帯魚の体表模様のような空間周期現象とに大別される．このように生命において普遍的に観察される周期現象は，20世紀半ばに体系化された非平衡熱力学という学問分野における散逸構造という概念により説明される．この散逸構造という1977年にノーベル化学賞を受賞した概念を簡単に説明すると，「外部環境からのエネルギーおよび物質の流れがある非平衡開放系において，反応，拡散，熱伝導といった不可逆な散逸過程によりゆらぎが成長させられて出現した，振動挙動あるいは空間パターンといった自己組織化された状態」ということになる．