鉄鋼の大気腐食と腐食生成物

摘要

初期乾湿繰り返し環境における鋼の腐食ならびに合金元素（Cr）の影響をケルヴィンプローブ法を用いた電気化学的アプローチにより解析した結異について述べた。 これらの結果より，さびの特性が腐食プロセスにおいて重要な役割を演じていることは明らかであり，今後，さび単独の還元特性を中心とした電気化学的挙動の解明が必要である。高飛来塩分環境では鋼の腐食が加速され，鋼へのCr単独添加は逆に腐食を加速することが知られているが，未だそのメカニズムは解明さわていない。 これらを解明するためには，塩化物環境で生成するβ-FeOOHの腐食反応への関与，特にβ-FeOOHの還元挙動·電子伝導性の変化，生成プロセスを含めたアニオン·カチオンの影響の解明，さらに濃厚塩化物環境下での溶液特性変化，それに伴う腐食反応の変化等の詳細解析が必要であり，今後の進展を期待したい。