高保磁力ナノコンポジット磁石の開発

摘要

永久磁石材料は電力の動力への変換デバイス（例えばモータなど）においてそれらの効率を支配する要素材料の一つである．例えば携帯電子機器やパーソナルコンピュータの小型高性能化には高性能永久磁石が不可欠である．また，今後の環境重視型社会で工業的実現が必要となる，例えば電気自動車などの低公害輸送機関やエネルギー消費の少ない工場には，高効率な永久磁石型モータが必要とされそのためには高性能な磁石材料が求められる．従来の磁石材料の限界を破る可能性を有する材料設計概念としてナノコンポジット磁石が提唱され，近年盛んに研究が進められている．本稿では，ナノコンポジット磁石の最近の話題として，ストリップキャスティングと呼ばれる高能率な急冷合金製造方法を初めて採用して実用材料として量産できる高保磁力Nd－Fe－B-Ti－C系ナノコンポジット磁石について述べる．