「銅·亜鉛の諸問題」特集に寄せて

摘要

銅と亜鉛といえば鉛とともにいわゆる非鉄重金属として主要な金属である。 原子番号は，銅が29，亜鉛が30で周期表では隣同士，原子量も電子構造もほとんど同じなのに性質は大変に違っている。 まず外観からみれば，銅が独特のオレンジ色に輝くのに亜鉛の方は渋い銀白色のいわゆる金属光沢。 実は色の話となるとあまたある元素金属の中で，銀白色を呈さないのは金と銅のわずか二つだけで，あと80種近い金属は全て銀白色なのである。 また，結晶系からみると，銅は面心立方，亜鉛は六方晶系とこれも違っている。 金は希少性から歴史的にも別格の用途をもってきたが，同じ旧IB族（今は11族）に属する銅はその軟らかさ，合金の作りやすさ，溶けやすさに美しさが加わって太古の昔，青銅器時代の主役を勤めただけでなく，黄銅，白銅などの合金のほか，導電材料として現代社会を支える最大の機能材料の役割を果たしている。