シーメンスの平炉と特許

摘要

シーメンスの両親は11人の男子と3人の娘を生み，4人は早世したが，兄弟の多くが発明家，学者，実業家として大成した．長男のウェルナー·シーメンスは「ベルリンのシーメンス」と呼ばれ，世界的な大企業シーメンスAGを育て上げた．次男のハンス·シーメンスは「ドレスデンのシーメンス」と呼ばれ，五男のフレデリック·シーメンスの発明をもとにドレスデンに大きなガラス工場を建設し，弟とともに経営して成功をおさめた．三男のフェルディナンド·シーメンスは父親の家業をついだ．四男のウィリアム·シーメンスが本稿の主人公で，熱エネルギーと電気に関する大学者かつ大発明家である．英国に帰化し，「イングランドのシーメンス」と呼ばれた．ウィリアム·シーメンスの伝記としては，ウィリアム·ポールの「ウィリアム·シーメンスの生涯」が知られている．平炉による製鋼法の歴史はW．T．ジーンズの「鋼の時代の創始者」に書かれている．年次についてはシーメンス社の公式サイトを参考にした．ウィリアム自身の論文等は分野別にまとめて出版されている．