東日本大震災による鉄鋼業界の影響

摘要

大震災は，自動車·家電など鉄鋼需要産業にも部品工業の被害などいわゆるサプライ·チェインの分断により生産活動に多大の影響を与えた．大震災後，部品の供給が行われなくなりほとんどの自動車組み立て工場では操業がとまり，トヨタ，日産，ホンダなどは4月18日にようやく操業が再開した．しかし，本格的な復旧までの道のりは遠く，当分の間，通常の50％程度の生産に止まるものとしている．日本の工場のみならず，海外の組み立て生産にも大きな影響をもたらすものと思われる．住商アビーム自動車総合研究所によると，「通常時の自動車国内生産台数を年間1千万台強とすると，被災した部品メーカーの復興状況や電力不足による制約，海外工場への影響を考えると，減産幅は数百万台規模となる可能性が高い」としている（鉄鋼新聞報道）．同社によると，約3万点の部品の集合体といわれる自動車において「会社によってばらつきはあるが，200～500点の部品調達難となっており，完全復旧まで1年から長くて2年かかる可能性がある」としている．