身近な高分子物性（第12回：最終回）高分子の安全性を考える－初心忘るるべからず

摘要

本稿では，最先端の高分子材料をあえて取り上げてきませんでした．用途も，製造法も，また安全性も未確定な部分なしとは言えないと考えたからです．高分子に限らず，研究開発段階では，あらゆるポジティブな可能性の追求が先行して検討されますから，夢のような未来材料として発表されがちです．研究のモチベーションを保つのに重要です．場合によっては巨額の研究費や人員が投入されます．そういった場合は，期待を込めて10年後の技術ですと言うことが多いようです．期待された新技術はかならずしも実現するとは限りませんが，経済性がクリアできないことが主な原因です．