780MPa級高強度鋼溶接金属の組織に及ぼすTi，Bの影響

摘要

ベイナイト/マルテンサイト組織を主体とする780MPa扱高強度鋼溶接金属の組織に及ぼすTi,Bの影響について調査した結果，以下の結論を得ることができた。 （1）Ti添加によりラス状組織から粒内ベイナイトが生成した微細組織に変化する。さらに，Bを添加すると，ラス状組織に戻る。（2）Ti添加によりMn_2TiO_4およびTiOなどのTi系酸化物が生成し，それらがベイニティツクフェライトの核生成サイトとなることで，微細な粒内ベイナイトが生成したものと考えられた。 （3）BはTi酸化物の周囲にフリーBとして偏析することで，Ti酸化物とγとの界面エネルギーを低下させ，Ti酸化物からの粒内ベイナイトの核生成を抑制し，ラス状組織を生成させると考えられた。