石炭軟化溶融性に及ぼす急速加熱処理の影響

摘要

近年，コークス製造コストを削減するため，調湿炭法に代表される事前処理を中心としたコークス製造技術の進展により，比較的安価な非微粘結炭の使用割合を増加させてきた。 また，非微粘結炭は粘結炭に比較して劣質ではあるが埋蔵量も豊富であり，資源対応力拡大の観点からも益々の使用増が求められている。 そこで，幅広い品位の石炭を使用しつつ非微粘結炭の使用割合をさらに増加できる新しいコークス製造技術の開発に目が向けられている。 このような革新的なコークス製造技術を開発するためには，コークス化性に大きな影響を及ぼしている石炭の軟化溶融現象を明らかにし，石炭のもつ性状を最大限に活かせるコークス製造プロセスを確立してい〈ことが重要な課題と考えられる。 次世代コークス製造技術として開発が推進されているSCOPE21プロセスでは，急速加熱により石炭を改質し，非微粘結炭の使用量を飛躍的に向上させることを目標としている。