プロセスシミュレーションソフト(SIM)活用による：プラントのエネルギー効率改善－シミュレーション／最適化技術による高度プラント操業

摘要

基幹システムの普及が一段落した現在，多くの装置産業から以下の意見が聞かれる。 「財務，在庫管理，購買発注，販売管理に関してはシステム化が終了したが，計画業務に関しては，会社内のエキスパート（人）が過去の経験をベースにEXCELなどを使って実施している。 判断の方向は間違っていないと思うが，最適かどうかは検証しようもない」MRPベースの生産計画システムが組み込まれている基幹システムもあるが，組み立て加工産業向けの計画手法であり，装置産業向けの手法ではなく，最適化手法でもない。 この部分に着手していくことが基幹システム構築後の課題ではないかと筆者は考える。 最適化シミュレーション技術は，70年代当初，ホストコンピュータをベースに一部のプロセス解析や石油精製における原油評価といった非常に限られた用途で使用されてきた。昨今のPC，最適化ソルバ，シミュレーションソフトのパフォーマンス向上と，GUIなどによるエンジニアリング性，また韓果の分析しやすさなどから，さまざまな用途での適用が普及しつつある。 プロセス設計中心の用途だけではなく，オフライン（最適計画），オンライン（ソフトセンサ，オンライン最適化）での活用例が増えてきている（ここでいう最適化とは，現象を数式モデル化し，そのモデルを使用してシミュレーションを実施し，さらには，目的関数を利用し最適解を探索することを指す）。 最適化する領域も，各プラント単体から動力も含めた関連する複数プラント最適化へ移行してきている。 複数工場ある場合は，物流を含めた最適化もすでに実施されている。 最近では，コンビナート全体の投資計画や最適計画に使用される事例も出てきている。 また計画の時間軸は，3年，1年，3カ月，1週間など用途に応じてさまざまである。時間軸が変わると制約と求める出力が変わってくるが，ベースとなるプロセスモデルは，どの計画に対しても横断して使用することが可能である。 図1は典型的な計画業務と時間軸の関係を示す。 本稿では，前述の基幹システムを補完する最適化シミュレーション技術の活用先をあげながら，運転，計画の最適化に関して，より具体的な内容を紹介する。