吸着樹脂を用いたフッ素·ホウ素·ヒ素除去

摘要

現在，ヒ素は0.01mg/l，フッ素は0.8mg/l，ホウ素は1.0mg/lの環境基準が設定されており，この10倍を目安に水質汚濁防止法の排水基準が定められている。平成14年度に水質汚濁防止法に基づいて実施した全国の地下水の水質測定結果によると，調査対象井戸（5,269本）の6.7％で環境基準を超過する項目が見られ，ヒ素は1.5％，フッ素は0.4％，ホウ素は0.1％の超過率となっている。 このように国内において少なからず有害無機イオンによる汚染が存在している。 これらの対応が問題となるなか，高度処理技術の1つとして吸着法による処理が注目されている。 われわれは，表記の環境汚染物質の除去を目的とした希土類元素であるセリウムをベースとした吸着剤の研究開発および製造を行っている。 そのなかで，新基準を十分満足できる性能を持つフッ素·ホウ素·ヒ素用の吸着剤をすでに販売している。ここではセリウム系吸着剤の吸着性能，処理プロセス，その実施例などを中心に，海外（インド·バングラデシュ）での井戸水中のヒ素除去の取り組みについても紹介する。