生活の中のレオロジー〔8〕：ハイドロゲルのレオロジー

摘要

微粒子が液体の中に分散している状態の溶液で，流動性のあるものを，ゾル（sol）という。とくに，分散媒が水のものをハイドロゾル（hydrosol）という。また，高分子溶質が集合するかあるいは反応によって網目構造をつくり，その中に多量の溶媒を含んで状態で固化して流動性を失ったものをゲル（gel）という。とくに，ゲルの中で，溶媒が水のときハイドロゲという。溶媒量の減少を伴い，乾燥状態になったものをキセロゲルあるいは乾燥ゲルというが，棒寒天がよい例である。ゲル化はゾルからゲルになる転移現象であって，一つは工業材料である塗料，接着剤，印刷インキ，熱硬化性樹脂，ゴムなど，いずれも液状のものを，重合反応により硬化するように設計されている物質に起こる。もう一つは自然界に見られる材料特に食品として，寒天やアルギン酸のような海藻抽出物や柑橘類，リンゴなどの果実からの抽出されたペクチンのような多糖類および豆腐，蒲鉾やヨーグルトのようなタンパク質からできるゲルがある。