プレス加工とシミュレーション技術：板成形シミュレーションの実用化－トヨタ自動車における現状

摘要

近年の数値シミュレーションおよびハードウェアの進歩は目覚ましく，自動車の外板パネルをはじめとするプレス分野も例外ではない．1998年以降，試作車用の金型を製作しない車両開発プロジェクトが出てきており，その代用としてプレス成形シミュレーションを使うようになってからプレス部品の初期検討や金型設計業務に定着し，短期間の車両開発にはもはや不可欠なツールとなってきている．プレス部品の不具合は成形性（ワトやシワ），精度不良（スプリングバックなど），面品質不良（面ひずみ）に分類できる．精度不良と面品質不良は発生メカニズムが弾性回復によるもので共通であるが，精度不良はミリオーダー，面品質不良が数十ミクロンオーダーであり，量が大きく異なる．これらの不具合のうち，板成形シミュレーションでは成形性の予測が実用化·活用されている．