原油価格急落と原子力推進の関係

摘要

原油価格が急落している。今年7月7日に76ドルになったNYMEXのWTI先物翌月限月ものは，本稿脱時最新の10月20日の終値で57ドルを割り込んでいる。 早くも，来年には45ドルもありうる，という見方も出てきた。 2度の石油危機と湾岸危機で原油価格高騰を経験してきた世代の大部分が，「今回の原油価格高騰はこれまでのそれとは違う。 世界的に見て，石油需給が構造的に逼迫する時代に入った。 だから新しいエネルギー供給バランスが浸透するまで原油価格暴落はない…」としてきた。筆者もその－人で，慣れたせいか,あまり恥ずかしいと思わなくなってしまった。 しかし,値上げ幅は同じあるいはそれ以上なのに，世界も日本も,過去の石油危機の時のような経済へのダメージがない原因は，「慣れた」にしてもよく分からない。