アブシジン酸（ABA）およびABAアナログを用いたシロイヌナズナ種子におけるABA作用機作の研究

摘要

アブシジン酸（ABA）は種子休眠や発芽などの多くの生理作用においてシグナルとして作用する植物ホルモンである。 ABAの作用は合成、不活性化、輸送、情報伝達の結果であり、その重複性が遺伝因子の同定を困難にしていると考えられる。 我々は、ABAアナログである（--）－R-ABAの作用が天然型の（＋）-S－ABAと比べて弱いことに着目して、これら物質の作用の違いを元にABA作用のメカニズムの研究を行っている。 我々は以前に（－）-R-ABA非感受性を示すシロイヌナズナ突然変異株の分離と解析を報告した。本会では、同様に（＋）-S－ABAを用いて突然変異株の分離を行い、これら二つの変異株集団の比較を試みた。 また、これら物質がシロイヌナズナ種子で異なって識別される作用部位を同定する尊を目的に、最近、同定されたシロイヌナズナ種子で主要なABA不活性化経路である8′-水酸化酵素、CYP707A，がこれら物質を in vitro で基質とする事ができるか否かを検討した。