マイクロフォーカスX線CTによる超耐熱複合材料の非破壊検査

摘要

宇宙航空研究開発機構，研究開発本部，複合材グループでは，航空機やロケット，衛星用構造材料の非破壊検査技術の高度化と，検査技術を用いた繊維強化複合材料の破壊メカニズムの解明，さらには新しい複合材料の製造プロセスの妥当性評価などを目的として，これまでにアレイ型超音波探傷装置，パルスサーモグラフィ，アコースティックエミッション装置，大型X線CT検査装置，マイクロフォーカスX線CT 検査装置などを導入し，繊維強化複合材料をはじめとする各種供試体の非破壊検査を行ってきた。X線CTについては，直径600mm程度の大型供試体用の大型X線CT装置に加えて，平成14年度には，より小さな損傷や欠陥検出を可能にするため，マイクロフォーカスX線CT装置を導入した。さらに平成22年度未には，検出器に平面X線検出器（FPD；Flat Panel Detector）を搭載したマイクロフォーカスX線CT 装置に更新し，運用を開始している。本稿では，当グループのマイクロフォーカスX線CT装置を紹介するとともに，将来の航空·宇宙機の耐熱部材への適用を目指した炭素繊維強化炭化ケイ素（SiC）複合材料（C／SiC複合材料）と軽量アプレータの試作と評価への適用例を示す。新素材の非破壊検査の参考となれば幸いである。