'農'なくして、国成り立たず（10）

摘要

二度目の九州を出ることになって今まで行ってなかった日南海岸へ行ってみようということになった。 丁度、台風が来ていて部井岬の方へ伸びている海岸の道路は波が霧のように被っていた。 その日は青島で一泊し、翌日は良い天気で都井岬へと向かった。岬へ着くと彼の有名な野生馬が何頭かのんびりと草を食べていた。 こんな所で馬が生きていけるんだな-と感心しながら見ていると、その中の一頭が観光客の車の中に首を突っ込んでいたずらを始めた。 観光客達は馬を離そうと、わ-わ-、きゃ-きゃ-、と騒ぎ始めたが馬は一向にやめようとしない。 どうなることかと見ていると、二頭の馬がどこからともなくトツトツトツと軽快に歩いてきて、そのいたずら馬に近づいた。 こりゃ-大変だ、一主緒にいたずらに来た-、と皆そう思ったに違いない。