高分解能探触子－広帯域探触子

摘要

超音波探傷試験の用語に関する国際規格ISO 5577-2000 「Non-destructive testing - Ultrasonic inspection - Vocabulary」を見ると，分解能(resolution)には，超音波の伝搬方向の分解能(axialresolution)と，伝搬方向に対して垂直な方向の分解能(lateral resolution)とがあることが分かる。 本文で述べる高分解能探触子は前者の意味での探触子，すなわち超音波伝搬方向の分解能が高い探触子を指すものとする。試験体の表面付近に存在するきず検出の要求から，我が国では1970年代後半から80年代前半にかけてこの種の探触子の開発が当協会209小委員会の設立などによって行われた。 探触子を等価回路でモデル化しこれを用いた計算機シミュレーションを利用することによって，ACエコー信号のサイクル数が1サイクル半の探触子が実現された。 古い話なので恐縮であるがこの種のシミュレーション手法がより広く利用されることを期待して，本文ではまずこれについて述べる。