「品質工学による技術開発フォーラム」に見る品質工学の動き

摘要

去る2011年2月18日に開催された第4回「品質工学による技術開発フォーラムJ(以下，フォーラム)は，品質工学の新しい動きを討議する目的で開催された1)，へ品質工学の新しい動きの一つは，中小企業の技術者の参戦であるO中小企業の参戦は，大企業の技術開発のような，かつての自動車やコピー機，金型の転写性等に代表される高いレベルでのテーマの統一性に欠ける。研究発表大会で発表される論文テーマなどが拡散し停滞という言葉も聞かれる一因である。しかし，中小企業の技術者の多くは，創業者であったり，トップや経営者でなくても会社のコア?コンピタンス1をつかさど司る技術開発の中心者である場合が多い。中小企業においては，一人の技術者の存在で会社の命運が左右されたりすることも珍しくない。むしろ，中小企業の技術者は，品質工学のもつ実験としてのツールといった戦術的な側面ばかりでなく，技術開発の上流といった戦略的施策も実践する立場にあ筆者も中小企業の技術者として，事例発表を通して技術開発フォーラムを報告する。